先生は本当に今夜は何もしないつもりみたい。


抱きしめたっきり
落ち着いた呼吸が
頭上から聞こえる



背中にまわした手を
先生のTシャツの中に入れて
素肌に触れた



「…………もぉ~」


脱力したように
先生は情けない声を出して



グルッと私の上に覆い被さる



唇を噛みしめ
少しすねた表情で
私の頬を何度か撫でてから



ゆっくり顔を近づけて……
だけど



「やっぱりストップ!」


唇が触れるか触れないか
そこで先生は止まった



「なんだよ?」


「大事な話をまだしてない」


私の言葉に眉を寄せ


「なに?まだ何か………」


「森さんだよ、森さん」


「はぁ?」


「はぁ?じゃないって」


「……なんだ、まだ妬いてんの
可愛いですねぇ、市花ちゃんは」


「妬いてません。
心配してるの」


「心配?浮気の?」


「バカ。違うよ」


先生は少しムッとした表情して


「心配なんかいらないって
オレが愛してるのはイチだけだ」



勘違いも甚だしい事を言って
無理やりキスをしてきた



「………っ、ちょ、やぁだ」


両手で先生の胸を押し
顔を背けると
先生もすごい腕の力で
私を抱きしめ
首筋に唇を押し付ける



「こんなに好きなのに
なんで心配になるの?」



「………だからぁ、違うってば
ヤキモチじゃなくって」



あー、もう、さっきまでの
大人モードはどこに行ったの?



「私が心配してるのは
変な事にならないかって事だよ」



先生は やっと身体を少し離し


「変な事って?」と聞いた