「環境を利用する?」
いじけた声で
枕から顔を上げ
先生を見た
先生は何もかも悟ったような
大人びた(いや大人なんだけど)表情で微笑み
「親父に金あるんだから
好きな大学行ってみなよ」
うう、確かに
一ノ瀬になる前は極貧で
高校進学すら諦めてた
そう思えば
今は贅沢なのかも知れない
だけど、裕福=幸せでは
絶対ない
あの家で失った物は
山ほどある
考え込んだ私に
先生はさらに余裕をかまして
信じられない事を言った
「家出たいなら
地方の大学行けばいいし」
「………なに言ってんの先生」
「なにって
家から通えないところに
進学すれば一気に解決だろ
家は出れるし、勉強もできる
美大なんてどうだ?
イチ、絵好きだろう
美大ならオレも
実技とか指導できるよ」
「なに言ってんの?
卒業して
私が遠く行ってもいいの?」
思いの外、声が震えた
地方って先生と離れちゃうよ?
先生はバカだし
そんな事もわからないんだ
私の動揺とはウラハラ
先生は平然としてた
「仕方ないだろ
卒業するんだから」



