「オレも進学した方が
いいと思うけど」
待ち遠しかった土曜の夜
お風呂の後、
タオルで髪を拭きながら
先生は言った。
「進学できるなら
進学した方がいいよ」
「なにそれ」
私は先にベッドに横になって
呆然と呟く
なにそれ
先生は私の味方だと思ってた
先生はタオルを肩にかけ
ベッドにドサッと座り
豆鉄砲食らった鳩な私を
真っ直ぐ見て言った
「うちの学校は一応進学校だし
就職は強くない
その上、就職難だ」
ムゥっとして
口を開きかけた私に
畳み掛けるように先生は言った
「就職できたとしても
一人暮らしできるような
初任給は望めないぞ」
反論する言葉を失くした私を
じっと見てから
「進学させてもらえるなら
おとなしく進学して
何か興味のある物を学びなさい」
「なんか納得いかない!」
バフッ
寝返りを打って
枕に顔を埋めた
納得いかないよ
そんなガチガチの
正論を言うなんて
なんか突き放されたみたいに
感じる
ふわっと
大きな手のひらが
私の頭を撫でて
「イチはもう少し賢くなりな
親が嫌いなのはわかるし
自立したいって気持ちは立派だ
だけど、なんて言うか
少し環境を利用してやるくらいのズルさを持った方がいいぞ」



