「就職して自立したいの
だから心配ご無用
じゃ、おやすみなさい」
早口で言って
布団を頭のてっぺんまでかぶる
息を潜めて
お母さんが引くのを待つけど
一向にお母さんが
部屋を出て行く気配はない
しばらくして
お母さんの低い声が聞こえた
「一ノ瀬である以上
高卒で就職は許されないわ」
私が布団から顔を出して
反論する前に
バタンとドアの音が響いて
お母さんは部屋を出て行った
ベッドの上
上半身を起こして
布団をボフッとグーで叩く
いっつも そうだ
あの人と話したら
こんな行き場のない
イラ立ちばかり募る
私のことなんて
何一つわかってないのに
こうやって土足で
人の中に入ってくる
進学なんて絶対にしない
就職して自由になるんだ
自分で働いたお金で
1人で生活するんだ
誰にも傷つけられない
暮らしがしたい



