「なんの用?」
そう聞くと
うん。とうなずいて
「お父さんがね」
お父さん。
大学病院の教授先生とは
もうしばらく顔を合わせてない
「お父さんがね、市花の進路を心配してるの」
「………進路?」
眉を寄せてお母さんを見た
お父さんが私の進路を気にするのにも違和感があるけど
進路についての話を
『お父さんがね』って
言葉を付けて話すあたりに
少しイラ立ちを感じてしまう
別に私はどーでもいいの
市花の進路についてなんて
話なんかしたくないけど
お父さんが言うから仕方なく
お母さんの腹の中を邪推する
「市花の成績から言って
F女子大かK大が良いんじゃないかってお父さんが」
また『お父さんが』かい。
F女子もK大も
私のレベルより少し高い
しかもお坊ちゃんお嬢ちゃんが通うようなイメージのある私大だ。
「F女子もK大も理事長がお父さんの患者さんで、とても良い学校だからってお父さんが」
「私、就職するよ」
お母さんを見据えて
はっきり言う
ピタリと話を止めた
お母さんの表情は
固かったけど
私が そう言うのを
わかっていたようでもあった



