先生の青






まぶたを開くと
先生はいなかった。


カーテンからは
まぶしい朝日が射し込む



腫れぼったいまぶたをこすり
身体を起こして
部屋を見渡した




「……………先生?」



静まりかえった部屋に
自分の声が響くとゾッとした




――――――先生がいない




「先生?先生!先生!!」



アトリエ、お風呂、トイレ
部屋中 叫んで探した



「……先生!」




言葉にしたくない
嫌な予感に足が震えた



不安を拭いさるように
そうだ、いつもみたいに
一人でコンビニに行ったんだ



自分に言い聞かせて
ケータイをとった




先生のケータイにかけると




  ピリリリリ……
  ピリリリリ……



テーブルの片隅で
先生のケータイが鳴る




「――――――――……っっ」




ケータイを閉じて
部屋の窓を開け
身を乗り出し
下の駐車場を見た




先生の車はなかった



ケータイも持たずに
車で出かけたなんて……




  ごめんな、ごめんな



  本当にごめん、イチ
  ……だけど、オレやっぱり






考えるより先に
身体が動いてた



部屋中の引き出しを荒らし
合鍵を見つけ



コートと財布だけ持って
部屋を飛び出し
駅に走った