こんな時に
私は先生のそばにいない
もう、居ても立っても
いられない
「先生。私やっぱり行くよ」
先生のためより自分のためだ
このままでは先生が
フミさんの後を追いそうで
「先生、待ってて
私、先生のところに行く。
先生のそばにいる………」
「………ううん」
涙声が私の胸を締め付ける
今すぐ飛んで行って
抱きしめたいよ………
「本当に……大丈夫だから
……イチから……着信あって
………すごく嬉しかった」
「先生」
「……大丈夫。うん、大丈夫。
ちゃんと……フミを………
…………見送りたい……」
途切れ途切れ、
苦しそうに先生は言う
「じゃ……イチ……
本当にありがとう……
イチの声が聞けて……
すごく嬉しかった……」
「先生、待って」
どうしたらいいのか
わからない
でも、先生を
先生を引き留める何か……
このままケータイを切ったら
一生後悔しそうだ…………
「先生、帰ってくるよね?」
もう必死で声をかけた
「必ず帰ってくるよね?
帰ってきたら一番に会おう
私、待ってるから……
先生がちゃんとフミさん見送って、帰ってくるの……私、待ってる」
「うん……、うん………帰るよ
イチが……待ってるなら」
明後日の夜には帰るから
先生はそう告げて
私は絶対に約束だからねって
強く念をおして
ケータイを切った



