………言ってしまった
普通の生徒に戻りたい
それは全てを切り離す言葉
口からこぼれた言葉を
無かったことには
もう出来ない
私の頭を包んでいた
先生の手から力が抜け
ダラリと落ちていく
力を失くした先生の指先に
視線を落とすと
胸がだんだん
冷えていくのがわかる
すかすか して
身体の中が空っぽになっていく
痛みすら遠のいていく……
「…………そう…か……」
先生の呟きが暗闇に溶けて
ため息が聞こえた
「……ごめんなさい」
先生の顔を見ないように
うつむいたまま背を向け
狭い遊具から抜け出そうとした
「……………イチ!」
呼び止められると
身体が固まってしまうけど
振り返ってはいけない
前に、前に行かなきゃ
遊具を飛び出したら
急に世界が広くなる
街灯の明かりに羽虫が群がる
夜の公園を早足で抜けた
どんなに想っても
届かない想いがある
きっと先生は私の痛みを
全然わかっていないだろう
いつだって想ってた
先生が好きだ
先生が愛しい
そう想うたび
自分に言い聞かせなければ
ならなかった
これは恋じゃない
これは愛じゃない
だけど、本当は 私だって
先生が好きで好きでたまらない
先生、愛してるよって
何度も何度も言いたかった……
……先生、本当は
あなたの方から
私を切り捨てて欲しかった……
公園から離れた道の片隅で
堪えきれず
しゃがみ込んで泣いた
ぼたぼた、ぼたぼた
大粒の涙がひざを濡らして
先生には届かない場所で
「………先生、先生……
先生、好きだよ………
好きで好きでたまらないよ……
先生………愛してるよ……」
言えなかったことを吐き出して
長い間、一人で泣いた



