始業式の始まる前
体育館で並ぶと
「市花!」
隣のクラスの列から
笹森くんが来て
「なんか久しぶり?」って
私が言うと
スルーされて
「朝、なんかあったんだって?」
眉を寄せ、私に聞く笹森くんを 見つめると
周りのこちらを伺う
気配を感じる
もう結構 噂になってたりする?
「三島となんかあった?」
笹森くんが
さらに問いかけるから
首も手も横に振り
「何もないよ。
美術部の事で少し話があったんじゃないかな?」
……うまく
すっとぼけられたかな?
笹森くんは
「ふーん」ってうなずいてから
「そうだ。
市花、またどっか行こうな」
話がコロッと変わるなぁ……
少し違和感を覚えながらも
うなずこうとした時
「今度は二人でね」
笹森くんは そう言って
私の返事を聞かず
クラスの列に帰っていった
「………ふぅ」
ため息ついてから何気なく
教職員が整列してる方を向くと
ドキンッ……
こちらを……というより私を
私をにらむ
三島先生と目が合って
心臓が飛び跳ねて
すぐ目を逸らした
愛してる
先生が そう囁いた夜は
昨日のことのよう……
ううん
今、この1秒前のことのように
身体がしっかり覚えてる
目が合っただけ
先生がそこにいるだけで
心は頼りなく揺れる
朝、先生に掴まれた腕が
ジワッと熱くなった



