「………痛いっ……
離して………」
私の腕を掴む先生を見上げると
さっきまでの笑顔が消え
必死な表情で
「少し、少しでいいんだ
ちゃんと話をしよう」
腕を振り払おうとすると
先生は さらに きつく掴む
「…………痛い」
困り果てると
周りにいる生徒たちの
好奇な視線に気付く
「なに、あれ?」
「三島なにやってんの?」
「あの女子、誰?」
ざわざわする朝の生徒玄関
これ以上 騒ぎになったら……
「……先生!離して」
だけど、先生には
何も目に入ってないみたいで
すがるような目で私に言う
「イチ、頼むよ、話を………」
「三島先生!
何をしてるんですかっ?」
そこに たまたま通りかかった
生活指導の井上先生が
私たちの間に入る
「三島先生、
この生徒が何かしたのですか?」
三島先生は ハッとした顔をして
やっと私の腕から手を離した
「………いえ、何も……」
三島先生の悲しげな顔に
胸がズンと痛む
井上先生は私たちに視線を浴びせる生徒たちに
「ほらほら!
さっさと教室入れー!」と叫び
私にも
「早く教室に行きなさい」と言った
三島先生の横を通りすぎ
教室へ向かうけど
心配で一度 振り返る
三島先生も
私をじっと見つめててた
だけど井上先生に
「ちょっと」と言われ
三島先生は連れて行かれる
………怒られるのかな
三島先生………
先生のすがるような目が
頭から離れなくて
胸がいつまでも苦しかった



