「……イチ?
なに言って……」
先生は戸惑った声を出し
私を抱きしめた
「……ごめんな?
フミに会って動揺したんだろ?
ごめん、ごめん
やっぱり連れて行かなきゃ
良かったな………」
私は首を横に振り
「先生は……可哀想な私が必要なんだよね?」
「………え?」
「……可哀想な子だったら
誰でも良かったんだよね?」
「イチ?お前なに言ってんの?」
「可哀想な子を慰めてる間は
先生……安心するんでしょ?」
「………イチ……」
先生はガッと強く私の肩を掴み
顔を険しくして
大きな声を出した
「イチ!
お前カナと何を話した?
何を言われたんだっ?」
嗚咽を漏らし
泣きじゃくりながら
首を横に振る私に
「言えよっっ!
何があったんだよっ?」
「……先生……
カナさんを慰めてる時は
どんな気持ちだった……?」
肩を掴む先生の手から
みるみる力が抜けて
後悔するように表情を崩した
「……イチ………」
「カナさんを……慰めてる時と
私に慰められる時………
先生はどっちが
幸せな気持ちになるの……?」
「イチ……違う」
「愛してる人に傷つけられる時
可哀想な子を傷つけてる時
どっちが幸せなの………?」



