先生の青





  ピッ、ピッ、ピッ……



ドアを開いて
一番に聞こえてきたのは
医療機器の音




いろんな機械
管に繋がれて
眠るこの人が―――――――






「おう、フミ来たぞ」


先生は
学校でも私の前でも
見せるのとは違う表情で
フミさんに話しかけた



「今日も外めちゃくちゃ暑いわ」


部屋に一歩入ったきり
動けない私に
先生は椅子をベッドの横に置き



「おいで、イチ」



ドクドクドクドク
今にも爆発しそうな心臓
怯む足でゆっくり
先生の隣に行く



そっと先生は私の肩に手を置き



「フミ。
この子はオレの教え子
一ノ瀬 市花だ」



挨拶をしようと
口を開くけど


管に繋がれて眠る
フミさんの顔を見ると
声が出なかった



情けなさでいっぱいになる
私の背中を先生は優しく擦り



「無理するな
帰りたくなったら
いつでも帰ろう」



先生の言葉にうなずき
椅子に座った



慣れた手付きで
棚から花瓶を出し
先生は私からブーケを取り



「フミ、見ろよ
イチが買ってくれたんだ
さすが女の子だよな
オレ、お前に一度も花なんて
買ってやった事ないもんなぁ」



フミさんにブーケを見せてから


「じゃ、花 いけてくる」


先生はブーケと花瓶を持ち
病室を出て行った