マンションの前に
先生は車を止め
「オレ、一回また
学校戻らなきゃなんだ
イチ、鍵あるもんな?」
………先生
まだメール見てないんだ
助手席でうつむいて
「郵便受けに返した」
小さな声で言うと
先生は驚いたように
「なんでっ?
あれはイチにあげたのに」
先生の態度に少しカチンとくる
「……だ、だって変だもん」
先生は「変?」って
眉を寄せた
「変だもん………
私が……先生の部屋の鍵……
持ってるなんて………
変だもん…………」
彼女でもないのに
そう思うと涙がまた溢れて
泣き出した私の肩を
先生は抱き寄せ
「……わかった、わかった
ごめんな、泣かなくていいから
オレの鍵持って部屋に入りな
すぐに帰ってくるから」
差し出された
先生の鍵を受け取り
車を降りた
朝、慌ただしく出た
先生の部屋に1人帰る
リビングは
夕陽のオレンジ色に
染まってた
身体が やたらと重い
すごく疲れた
制服のままベッドに横になって
目を閉じると また涙が出る
疲れた、すごく疲れた
……なんにも考えたくない



