ひとしきり泣いたあと
先生はティッシュで
私の鼻を拭きながら
「どうした?
誰かにイジワルされたのか?」
耳に響く声は
どこまでも優しい
泣き過ぎて
ボーッとする頭を
横に振る
何も言わない私の頬を
両手で包み
「イチはいつもそうだ
我慢し過ぎるんだよ
今日は車で来てるし
送って行くよ」
「………帰りたくない……」
鼻をすすりながら
涙声で言う私に
優しく笑って
「送って行くのは
オレの家だけど
帰りたくないの?」
……なんだ。
あの家に送り帰されると思った
大きな手のひらが
私の髪を撫で
「イチが帰る場所は
オレのところ、でしょ?」
この笑顔を
この声を
この手のひらを
………この人を
失ったら生きていけない
他の誰かが聞いたら
笑い飛ばすだろう
だけど 本当に
先生がいなかったら
私は立ち上がる事すら出来ない
目を覚ませ と
遠くで誰かが言ってる気もする
だったら教えてほしい
先生以外
何を頼りに
何を支えに
私は立ち上がるのか



