家に戻り、部屋で着替えてる時
コンコン
ドアがノックされて
「……市花?いるの?」
お母さんの声だ
制服のブラウスのボタンを
急いでとめて
ドアを開いた
「なんか用?」
驚くほど素っ気ない
自分の声に驚いた
だけど、お母さんも自分の娘に『いるの?』は ないでしょう
お母さんはドアの前に立ち
部屋に入ろうとはしない
私もドアを開けたまま
部屋から出ることはない
お互いに廊下と部屋の境目
その線を越えて
近づくことはない
頬に手をあてお母さんは
自分の足元に視線を落とし
「市花。
あなた最近、外泊が多い気がするけど、誰のお家に行ってるの?」
「お母さんの知らない
知り合いのお家だよ」
私がはっきり答えると
少し間をおいて
「高校のお友達?
ご迷惑おかけして……」
「お母さんに関係ないし」
「そういうわけにも……」
なんとも歯切れが悪い
お母さんの追及
「市花、今までそんな事
なかったじゃない」
一度も私と目を合わさない
お母さんにムカつく
「今までって何?
お母さん知らないだけかもよ?
お母さんは夜だって
家にいなかったし
その間、私が何してたかなんて
一度も聞いた事なかったじゃん」
反抗期のガキみたいだな
カッコ悪いな、私
だけど、今さらなんだよ
何もかも今さらだよ
お母さん
あなたは私を知らなすぎる



