先生の青




翌朝、目が覚めると
先生はもう学校へ行く支度を
整えてた



慌てて起き上がった私に


「イチは
ゆっくりしてていいよ」


先生はベッドに座り
私の髪を撫でて言った



「……でも」


先生が学校行ったあと
どうやって私ここを出るのよ?

今日だって昼から
美術部あるのに
(作品作らず遊んでばかりだけど)




「これ、イチに」


そう言って
手のひらに乗せられた
冷たい金属



………家の合鍵



「あ、そっか。
じゃあ帰る時
郵便受けに入れておくね」



先生はベッドから立ち上がり
カバンを持って
玄関に進みながら



「イチが持ってていいよ」



「え?」



「じゃあ、ごゆっくり」



靴を履いて
ドアノブに手をかけた
先生の背中に



「……え?ちょっと……
先生っ!?」



戸惑う私を無視して
先生は出かけて行った



バタンッと閉まったドアの音が
静かな朝の部屋に響く



持ってていいよって


手のひらの鍵に視線を落とす


冗談じゃない
こんな物を持たされたら
ますます私の心は鎖に繋がれる


先生から離れられなくなる


「………なに考えてんだよ
先生のバカ」


合鍵に私の体温が移り
温かくなる


夢を見るな、私


目を開いて見る夢は
目を閉じて見る夢より深く
抜け出すのは難しい