先生の青





1時間早く家を出ただけで



朝の景色もだいぶ違う


いつもより東側にいる
太陽は眩しく


風はとても爽やかだった




電車を降りて
改札を通り駅を出る



高校に近づくと


朝練に精を出す
野球部員のかけ声が聞こえた




誰もいない生徒玄関は
とても静かで
上靴を少し雑に床に置いた
タンッ…という音が
やたら大きく響いた




階段を上り3階の一番奥


【美術室】


カラカラ……
美術室の後ろの戸を開けると


「…………っ」


壁一面の南向きの窓から入る
黄色い光に目が眩んだ



戸を閉めて 3歩進んで
ビクッと驚いた



誰もいないと思った教室に
彼がいたから




美術室の片隅にイーゼルをたて


キャンバスに真剣に向かう横顔



筆を持つ白い繊細な指先



朝の光に照らされた髪は
とても茶色い





「…………三島先生」


ピタッと筆を止め
ゆっくり こちらを振り返った



「……木下?どうしたんだ」



私は三島先生の方へ進みながら


「昨日、ペンケースを
ここに忘れて」



「そっか、そっか」と
先生は2、3度うなずいた