先生の青




先生はカナさんが
好きなんだよ、
今でも ずっと


そう言いそうになって
口をつぐむ


これだけは言いたくない
ちっぽけな私のプライドだ


『そんなことないよ』なんて
優しい声で諭された時には
本当に自分が
ダメになる気がする


イライラする


なにもかも
理解して納得して
この人を受け入れたのに



なんで こんな気持ちになるの?



目がジワッと熱くなって
手を握りしめると
ブルブル震えた



先生はため息ついて
私の震える手を両手で包んだ



「………フミのことはあるけど
オレはイチのことも
最後まで見てるつもりだよ」



「………最後までって?」


先生は目を伏せて


「イチが大丈夫になって
ちゃんと幸せになるまで」



………ちゃんと幸せにって

自分で言ってて
おかしいと思わないの?


さっき笹森に
嫉妬したの先生じゃない


私の手を離せないのは
先生の方でしょう?


「先生」
「わかってるよっ!」


矛盾してると言おうとした
私の言葉を遮り
先生は苦しげに言った



「わかってる
頭では、わかってる
だけど、もう
どうしようもないんだ

ダメなんだよ、オレ
おかしいんだ」



両手で包んだ私の手に
先生はすがるように額をつけ



「フミを見捨てられない
イチに何もしてやれない
だけど…………
イチがいないと嫌なんだ
離したくない
そばにいてほしい」