「嘘つくなよ」
急に鋭く先生は言った
「ずっと見てきたんだ
イチが大丈夫か
大丈夫じゃないかなんて
すぐ、わかるんだからな」
まっすぐ真剣に私を見る目は
私を守ってくれた時の目だ
違う、違う
私を守ってくれた先生は
もう どこにもいない
必死に頭の中
自分に言い聞かせる
だけど胸には熱いモノが
込み上げ溢れ出す
しっかり抱きしめてくれた
あの ぬくもりが よみがえる
「どうした、イチ
家で何があるんだ?」
急に優しい声を出すのは
反則なんだよ、先生
「……もしも
家が嫌だから
連れ出してって言ったら
助けてくれるの?」
言ったあとで後悔する
バカげてる
だけど 先生は即答した
「連れ出すよ」
カァ―――――っと
身体が熱くなって
「いい加減なこと
言わないでよ!」
椅子から立ち上がり
先生をにらみつけた
「いい加減じゃないよ
イチが望むなら
オレはそうする」
「できるわけないし
先生にはフミさんだって
カナさんだっているじゃない」
先生は憮然として
「フミはわかるけど
なんでカナが出てくるんだ?」
バカじゃないの?
未練がましい先生に
気づいてないとでも
思ってんの?



