先生の青




急にクスクス笑いだした私を
不思議そうに見たけど


ホッとしたように
先生は表情を和らげた



「……夏休み、
どう過ごしてる?」


やっと口を開いて出た言葉は
結局 世間話かよ、先生


「真面目に部活に出てる」


しれっ と答えた私を
聞き分けのない子供を
見るような目で見た


「部活は知ってるよ
それ以外で」


引きこもり
なんてことは言いたくない


「バイトでも、したいなって
考えてる」


これは先生の質問から
少し逸れてると思った


「バイト?どうして」


「卒業して すぐ
自立できるように貯金」


バイトは本当に考えてた
その代わり
部活に出れなくなる気がして
いつも躊躇した



先生はギュッと眉を寄せ


「イチ、まさか まだあの男が
何かしてきてるんじゃ」


あの男。英雄さんか


「ううん。なんで?」


「ずいぶんと家を嫌がるから」


心配そうに私を見る
先生の目は
100%頼りきってた頃の目で


ほんの少し前の事なのに
懐かしい



だけど その裏にある心を
私は もう知ってる



「イチ、家でうまく
行ってないんじゃ」


「そんなことないよ
全然、大丈夫」



もう先生に甘えるわけにも
いかないんだ