先生の青




両腕を突っ張り
先生を引き離す



「こ、こんなところで
いきなり やめてよね」



床に落ちた飲み物を拾い
まだカーテンの隅に
もたれかかる先生に
缶コーヒーを渡した


手にしたイチゴミルクは
少しぬるくなってる気がする



「先に戻るね………」


「待てって。
少し話をしよう」


一体 何を話そうと思うんだ
まさか世間話って
わけじゃないよね



無表情のまま
先生は教室の椅子に座る


視線だけで
私にも座るよう促すけど



「あまり長く席を外したら
みんな変に思うよ?」


「大丈夫だよ。
オレしばらく職員室にいるって
言ってきたから」



………じゃあ やっぱり
1階に来たのは私を追って?
職員室は2階だもんね



最初から私に話があったんだ



仕方なく先生の隣に座る



教室は少し埃っぽい気がする


紙パックにストローをさし
チューっと吸った


ぬるくなった分
いつもより甘く感じる



話をしようと言ったのは
先生なのに
むっつり黙り込んで


手に握る缶を見つめてる



何も言えることが
見つからない


だけど話をしなきゃいけない


そんな風に思ってるのかな


むすっとした
先生の横顔見て
彼の考えてることを
想像すると
何だか可愛くも思えて
笑ってしまった