先生の青





悪い事をした後みたいに


ドッキ――――――ンとした



せ、先生
見てた?聞いてた?



コインケースから
お金を出し
びくびくする私の隣で
缶コーヒーを買った



ガコンッて
取り出し口に
缶が落ちる音を聞いて



なんで3階の美術室から
わざわざ1階の自販機まで?


売り切れは確か
イチゴミルクだけだったはずだ




先生は手にした缶コーヒーを
じっと見つめて



「笹森はイチ狙いか」


ドキッ


「振り向き様に訊くあたりが
爽やかさを演出してたな」



……見てたのね、聞いてたのね



ドクドク ドクドク
とっさに弁解しようとしたけど



「うん。いーんじゃない?
笹森なら」



先生のこの一言を聞いて
カッとなった



「………先生にっ……
先生に……言われたくない」



なんだよ
過去を告白しておいて
寂しさに任せてエッチして
その後は放置プレイだ



そんな先生に
何も言われたくない



「……ふっ」て先生は笑って


「そーだねぇ
オレには関係ないし」


本当に軽い口調で言うから



……ふざけてる



怒りを通りこして
哀しくなる


哀しくなる自分に
また腹がたつ



唇を噛みしめると
涙が出てきそうになって


先生の顔なんか見たくない


この場を離れようと
足を一歩 踏み出そうとした