先生の青





途方に暮れた気持ちで
ため息をついた



先生は寝返りをうち
私に背を向け



「ごめんな
変な話を聞かせて
もう寝よう」



ゆっくり目を閉じて
耳を澄ませた



隣の先生の呼吸に
自分の呼吸を合わせてみる



……寂しいんだよね、先生







いろんなことを考えた


見たことのない
先生の子供の頃、
思春期を思った



週末、フミさんに会いに
地元へ車を走らせる先生


きっと疲れ果てて戻る帰り道




カーテン越し
白んできた外を見て
先生を起こさないように
ベッドを抜け出した



音をたてないように
そっと そっと
アトリエのドアを開ける



床に落ちてた
スケッチブックを
拾い上げ



  パラッ……


1ページ目は
セーラー服の女の子


2ページ目は
ブレザー姿の女の子


3ページ目は
二十歳くらいの女の人



絵の中で
だんだんと成長していく女性



柔らかく微笑む
その女性が
スケッチブックの中程で
20代半ばになる




聞かなくても わかる


この女性はカナさんだ



先生は今も変わらず
彼女を愛している




言えない想いを
絵にするなんて
先生………


先生、バカだよ 本当に