先生は きつい目をして
じっと天井をにらんでた
その横顔が痛々しくて
そっと先生の手を握った
だけど先生は
すぐに私の手を払いのけた
どうしていいか わからずに
「………フミさんは」
私が訊くと
「一命はとりとめた
けど、意識は戻らなくて
病院で泣き崩れるおばさんとか
いろんな管に繋がれたフミを
見たら……
わけわからなくなって
正直、覚えていないんだ
その時のこと
ただ、そのバイトの男を
殴って半殺しにしてから
海に行った
その男より もっと
ひどいことをしたのはオレで
あの夜、ちゃんと海に行って
フミと向き合えば
こんなことに ならなかった
フミを死にたいくらい
傷つけたのはオレなんだ
気がついた時は
カナが半狂乱になって
オレの腕を掴んでた
『泉まで やめて』って叫んで
下を見たら腰まで海に浸かって
死のうとしたんだなオレ
でもカナがオレの異変に
気がついて追いかけて
冷たい海の中
オレを捕まえてた」



