先生の青





「…………そして」


先生は一度 言葉を切り


泣き出してしまいそうな目で
話し始める



先生の中から
一生消えることのない


後悔した夜のこと





「高校3年の夏休み


オレとフミは同じ高校に通い
カナは地元の美大に通ってた


オレはカナと
同じ大学に行きたくて
推薦をとるために必死だった


あの日の朝、
フミから電話が来て


『これで最後にするから
バイトが終わる夜10時すぎ
海に来てほしい』


フミに告白されるのは
何度目だろうって
正直、うんざりしながら言った


『本当に最後だろうな?』って


フミは少し震えた声で
『うん、約束する』って言った



夜、10時近くになって
仕方ないから
そろそろ行くかぁって時
カナが家に来たんだ


『相談したいことがあるの』


オレとフミの約束を
知らないカナはそう言って


考えるまでもない
オレは自分の部屋に
カナを入れて


カナに気付かれないように
フミにメールした


やっぱり行けないって


先に約束したのはフミで
オレを必要としてたのも
フミの方だって
ちゃんとわかってたのに


いくら望んでも
カナにとって自分が
弟以上になれないことも


オレはわかってたのに
海に行かなかった」