先生の隣にいると
力抜けるなぁ
安心できる………



自分のつま先に視線を落として



「でも、いつまでも
先生に依存するわけに
いかないもんね」


先生は少し眉を寄せ


「依存?」って聞き返した



私はうなずいて


「だって、
……英雄さんとの事は
先生が終わらせてくれた。

問題が解決したんだから
いつまでも先生に頼ってちゃ
おかしいでしょう?」


「それは違うよ、イチ」


先生は首を横に振り
はっきりと否定した


「問題が解決したからって
何もかも大丈夫になんか
ならないんだ

記憶はいつまでも残るし
辛いものは やっぱり辛いんだよ

傷は、傷ついた
一瞬だけ痛むんじゃない
しっかり乾いて癒えるまで
痛いものは痛い


問題がクリアになったから
大丈夫だって考えは
自分を追いつめるぞ?」



先生は左手をこちらに伸ばし
ひざの上の私の右手を握った


………トクン


心臓が大きな音をたてる



「ゆっくりだよ
ゆっくり時がたつのを待つ
無理しないでさ」


なんで先生は


そこまで
わかってくれるのかな?



「焦る事ないんだ、イチ
時がたつのを待つ他に
どうしようもないから」



目が じわっと熱くなって
先生の手をギュッと握り返した