優人はアタシの体をあまり揺らさないように、ゆっくり歩いてくれた。

それだけで優しさが伝わってくる。



家に着くと、学校から連絡を受けたおばあちゃんが出迎えてくれた。


おばあちゃんが見えた瞬間、アタシは不安になった。

…とうとう家に着いちゃった。

…こんなんで部屋までたどり着けるかな…。2階だよ…。


アタシの部屋は2階だから、玄関から一人で歩いていかなきゃいけない。

さっきより体が楽になったけど、こういう時がちょっと大変。

おばあちゃんに支えてもらうのは怖いし、優人に部屋までなんて言えないし…。


アタシの不安なんておかまい無しにおばあちゃんが優人に挨拶した。

「まぁ先生、うちの香織がいつもお世話になってます。おんぶまでさせてしまってすみません。」

「よいしょっっと…。ご挨拶が送れて申し訳ありません。山根さんのクラスの副担任の遠山と申します。」

不安なまま、玄関でゆっくり降ろされた。