ヤバッ…涙出てる…


―ズルッ…

アタシが鼻をすする音に、優人は顔を上げた。

「香織…ありがとな。俺もあの時はビックリしたよ…。

あっ…でもいつまでも黙ってるつもりはなかったんだ…。香織に聞かれたら答えるつもりだったし、聞かれる前に言おうと思ってた……。

香織は…どうしたい?俺は正直別れたくないよ。

でも、教師と生徒っていう関係に変わりはないんだ。

バレたら香織は退学になりかねない。だから…香織が別れたいって思うなら俺はそれに従うよ。」


アタシが決めるの…?

『退学』『教師と生徒』

アタシの頭の中をぐるぐる回ってる。

別れを切り出されるとばっかり思ってたからそんな事考えてなかった…。

でも優人もクビ…。

 

それなのに…結局本心には逆らえなかった。



「このままじゃ…だめかな?」

「俺は覚悟できてるよ。香織は…いいのか?」

「うん。あと1年…だから。」

…これでいいんだ。

「わかった。あと1年、頑張ろう。」


再び気持ちが通じ合ったアタシと優人は、春の日差に見守られながら熱いキスをした。