絵里が気を利かしてくれて、進路相談室に他の生徒がいないかどうか、確認してもらった。


アタシはすぐ側のトイレで一人待機中。

ほんの1分もかからないのに、こういう時は時間の流れが止まったように感じる。

…ソワソワするし、落ち着かない。

…入試の面接の順番を待ってる時みたい。

帰っちゃおうかな…。



狭いトイレの中をウロウロしていると、絵里が戻ってきた。

「香織、今丁度誰も来てないみたい。他の子が来たら順番待って貰うように頼んできたから行こう?」

…もっ…もう!?

「…ぅん。」

重い足取りのまま、絵里と進路相談室に行った。



―コンコンッ…

「失礼しまーす。」

絵里が一足先に入った。

「えっと…篠原さんだっけ?」

「はい…。あとぉ…」

言葉が途切れたあと、アタシも続いて入った。