「ワンッ!!」

「可愛いーーー!!!」

アタシ達を最初に出迎えてくれたのは、ダックスフンドだった。


吠えた声に続いて、優しそうなご夫婦が出てきた。

お客さん?

…じゃなかったみたい。


「お名前よろしいでしょうか?」

あ…ご主人と女将さんなんだ…。

目の前のご夫婦が旅館の経営者だとは思わなかったよ…。



「遠山で予約したんですが…」

「はい…。お車ですよね?駐車場は今からお使いいただけますのでどうぞ。お部屋は午後からになります…。」

え゛っーーー!!

声が出そうになった。

絵里と思わず顔を見合わせた。