すらすらと、
俺でも忘れてたことまで。




小悪魔の口から出てきたのは、
そんな小さな俺の行為。



歩く足が止まって、
先に進む小悪魔の姿を見つめた。




「たぶんね、谷澤君は態度が
ちょっとそっけないから冷たく見られちゃうけど、


ほんとはすごく優しい人だと思う」




黒い髪をふわりと揺らし、
振り返った顔はやっぱり笑顔で。




心の奥のもっと深いところが、
じんわり熱くなっていく。



誤魔化しの聞かない鼓動は、
いつにも増して活発で。







何でそんなこと知ってんだ、とか。


何でそんなこと言うんだ、とか。





――――そーゆうのが全部吹っ飛んだ。







えも知れぬ感情は、
多分このときから生まれた。