「先に行ってて」笑いながら、 ぺたぺた廊下を歩き始める小悪魔。 こんなに寒くて、 こんなに冷たそうな廊下をはだしで歩く姿に 胸がやけに痛んだ。 「おい」 無意識のうちに出た声。 驚いたように子悪魔は振り返って、 何? って顔してる。 自分でも何がしたいのかわからない。 呼び止めるつもりなんかなかったのに、 勝手に、つーか口が滑った。 「ん。履けば?俺もう1足あるし、 スリッパカッコ悪いっしょ」 すらすら出てくる言葉。 おい、何言ってんだ俺。