「っ!」
また、私の心配してくれた。
私なら、いくら酷いこと言われても平気なのに。
むしろ叔父さんを侮辱されたことのほうが、身を裂かれそうなくらいで。
叔父さんの言葉が効き、私は顔を紅潮させる。
「叔父さん、心配ばっかりしてると…損しちゃうよ。」
さっきとは違う、照れ臭さと嬉しさを押し隠した口調でそう告げた。
叔父さんにも私の本心は伝わったらしく、明るく笑いながら言う。
《大人は損には慣れっこだ。》
「ふふ、変なの。」
損に慣れるなんて良いこと無いのに。
でもそんなことをアッサリ言えてしまう叔父さんは、やっぱり私には格好良く思えて、
《おやすみ八智絵。
日曜日、楽しみにしてる。》
こういうことを然り気無く言ってくれる叔父さんが、とても素敵に思えた。
今日もまた、大好きな人との電話を有頂天で終えられた私は、何も考えることなくベッドに潜り込んだのだった。
…それこそ、叔父さんの気にした“変なこと”の意味を考えることもなく。



