姪は叔父さんに恋してる



「そっちこそ叔父さんの何を見て最低って言えるの!?
私は叔父さんのこと、昔からよく知ってる!少なくとも…っ、あんたよりずっと叔父さんの良さが分かってる!!」


目を見開き、真っ赤な顔で捲し立てる。

シャツの襟元を引き千切らんばかりに掴んで、目の前の憎い男を睨んだ。

…すると、


「…親に向かって、なんて口を利くんだっ!!」


「…っ!」


頬に痛みを感じた。

咄嗟に離れる私の両手。
一瞬唖然として、ふとキッチンに見えたお母さんと目が合った。

「きゃあっ…!!」


お母さんが小さく悲鳴を上げ…私はやっと、お父さんに叩かれたことを知った。


なんで…私が叩かれる…?


力なくその場に崩れ落ちる。

頬は痛い筈なのに、私が真っ先に感じたのはそれにも勝る悔しさと怒り。

ゆっくり、お父さんを見上げると…、同じように激怒寸前な表情と目が合った。