でもすぐに、私は一階へ下りたことを後悔する。
「……………。」
別に、今日の夕飯の献立が嫌だとか、変な虫が湧いてるからとかじゃない。
…もっと、もっと悪いこと。
「八智絵。呼ばれたらすぐに下りて来なさい。」
どうしてこの時間に…お父さんがいるの。
普段着に着替えて、椅子に座って冷たく私に注意するこの“人”を見た途端、私の中に言い様もない不快感が蘇ってきた。
…なんでいるの。
なんでそんなこと言われなきゃいけないの。
言いたいことはたくさんある。
でも何故だろ。
お父さんの顔を見ると…
「…私、今日ご飯いらない。」
吐き気がしてきて、何も食べられそうにない。
私の考えを察したらしいお父さんは怪訝そうに眉を潜め、静かに立ち上がった。
真っ直ぐ、私のほうに歩いてくる。
…嫌。気持ち悪い。来るな。



