姪は叔父さんに恋してる



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初夏は夜が遅くて嫌、なんて初めて思ったかも。

時計が夜の6時を差しても7時を差しても、まだ外は薄明るくて、電話するタイミングが掴めない。

ケータイを握り締めトモミくんを抱き締め、いざ叔父さんに電話をかけようと決意してかれこれ1時間。

このままじゃ何もしないまま陽が暮れてしまう。
…いや、陽が暮れてくれたほうがむしろありがたいんだけど。

「叔父さぁん…。お仕事いつも何時に終わるのぉ…?」

涙声で独り言を呟く。
当然ながら答えてくれる人はいない。


また時間を確認すれば、時刻は7時を5分ほど過ぎたところ。

…どうしよう…。
せめて8時まで待つ?
でも残業中とかだったら悪いし…。
9時以降に電話しても、疲れてるだろうし悪いかな…?

じゃあ根本的に考えて、休日に電話するとか?
…でも休日こそゆっくりしたいだろうし、電話するのは悪いだろうか…?

そんな要らぬ心配ばかりが湧いてきて、結局私は通話ボタンを押せないままなのだった。