姪は叔父さんに恋してる



―――


出発の2分前まで片付けをしていたんだ。
今更招き入れて恥ずかしい思いなんてしない。

家の扉に手をかけ、私は叔父さんを招き入れた。


「ただいまー!叔父さん来たよー!」

「姉さん、お邪魔します。」


扉を閉め、靴を脱いだところで奥からパタパタと足音が聞こえてきた。

間違いない。お母さんだ。
私は一人っ子だから他に足音立てる人なんていないし。


「おかえり八智絵ー。
まあまあ、いらっしゃい智充。湯川さんの法事のとき以来ねぇ。」

「姉さん、これ林檎。
たくさん持って来たから、皆で仲良く食べて。」


すかさず私が袋を持ち上げて見せる。
その大量ぶりに、お母さんはすぐに目を丸くした。

「まぁー。これは八智絵に助けてもらわなきゃいけないわ。」

「欲しかったらいつでも追加持って来るけど。」

「うちは3人だから食べきれないわよ。」