私の表情が険しくなっていくのに、叔父さんはどこまでも穏やかだった。
「でも、八智絵。
これは俺が呼びたいから呼んでいるだけだ。
照義(てるよし)義兄さんは素晴らしい人だよ。
家族を大事にする、素晴らしい父親だ。」
「……それはどうだろ…。」
口ばっかり厳しくて、私は好きじゃない。
叔父さんのほうが、ずっと父親らしいのに。
眉をひそめ機嫌を損ねた私の肩を軽く叩き、叔父さんは「帰ろう」と促した。
叔父さんは好きだから言うこときかなきゃ。
素直に歩いたことに、叔父さんは満足そうに微笑む。
ふと、持っていたビニール袋を寄越してきた。
「ん?」
「電話で言っただろう?
知り合いから貰った林檎。
重いから、家まで持つの手伝ってくれないか?」



