階段を下りると、お母さんがリビングから顔を出していた。 「八智絵、どうしたの急に? あら?今から出かけるの?」 「そう。伯母さんの教えてくれた雑貨屋さんに。 夕方には戻るから。」 少し強めの口調でそう言うと、お母さんはそれ以上言及しなくなった。 代わりに、 「あんまり遅くならないようにね…。」 躊躇いがちに送り出してくれた。 「…うん。」 私は一言呟くと、靴を履いてすぐさま玄関から駆け出した。 見送るお母さんは、どこか不安げな顔をしていたけど、 私は、清々しい開放感に包まれていた。