記す者

「だそうだ」

 視線を合わせず応えて、ベリルはクレヨンで描かれた絵を見つめた。

 ベリルと、その手をつなぐ少年──周りは花畑で、2人は笑っている。

 彼は、助けた人間が自分に憧れて戻ってくる事を良しとしない。

 出来るなら、そのまま幸せな暮らしをしてほしい。

 再び戦いに戻ってくるなど、ベリルには許し難い事なのだ。

 だが、そんな彼らの意思を尊重してやりたとも思う。

『助けられた自分のように、1人でも多くの命を助けられるなら』

 固い決意の表れた瞳に見つめられ、彼はいつも深い溜息を吐き出す。

「……」

 ベリルは、しばらくその絵を見つめたあと静かに目を閉じた。