記す者

「知ってる? 人間は死ぬために生きてるのよ。誰かが言ってた」

「死ぬために?」

「死ぬ時に『いい人生だったな』って思うために輝いて生きるのよ」

 ノインは再び言葉を切って、息を吸い込む。

「ベリルは、あたしたちをより良く育ててくれる。彼は、あたしたちの宝なの」

 彼を奪う事は許さない──ノインの瞳に、あやしい光が灯された。

「よせ」

 ベリルが静かに起き上がる。

「でもベリル!」

「良い」

 ノインは口惜しげに車から離れると、辺りを窺った。

「さて」

 ベリルはケイトに向き直り、いつもの笑顔を見せる。