記す者


 どこまでも追いかけてくる車をなんとか引きはがし、路地裏で止まる。

「もう大丈夫かな」

 言って外に出て、後部座席のドアを開き意識のないベリルをのぞき込む。

 ほっとしたように笑みを浮かべ、ケイトが視界に入ると目線を合わせずに開いたドアの足かけのへりに座り込む。

 何かを問いかけられる事に身構えている──応えたくない事が、その背中で解る。

「彼は、一体なんなの?」

「見れば解るでしょ」

 肩を落として答えるノインから、ベリルに目を移す。

 血の跡に手を添え、静かに寝息を立てるベリルの顔を見つめる。