記す者

「ベリル!」

 ケイトは、苦しそうにシートに転がっているベリルを手当するためにジーンズを破こうとした。

「!」

 その動作をベリルが制止する。

「何故? 早く手当しないと!」

「必要ない」

「何言ってるの! 弾は貫通しただろうけど傷口を止血しない、と……」

 ケイトは声を張り上げて傷口に目をやると、妙な感覚に眉を寄せた。

「血が止まってる? もう?」

「ベリルを支えてて!」

 ノインはハンドルを思い切り右にきった。

 バックミラーに追いかけてくる車を確認し、スピードを上げる。

「!」

  慌ててベリルの体を支え、右肩にある注射針を引き抜いた。