そのとき──

「動くな」

 2人の男が、ベリルとノインに銃口を向けていた。

 暗いスーツを着て、サングラスからはその視線の先を確認出来ない。

「ベリル・レジデント。こっちへ来い」

「!」

 ケイトは驚いたが、ノインもベリル本人も男の言葉にさして驚きもなく無表情だ。

「合図で車に」

 ベリルは一歩進み出ると、ケイトにぼそりとつぶやいた。

 男2人のハンドガンには、サイレンサー(消音器)が装備されている。

 しかし、男の1人が手にしている武器とは別にハンドガンを出しベリルに向けた。

「──っ」

 その男はベリルに数歩近づくと引鉄(ひきがね)を引いた、軽い破裂音がして右肩に何かが突き刺さる。