ケイトは、部屋に戻る間もずっと考えていた。

「やっぱり変よね」

 ベリルの体をじっくりと思い出す。

 カードキーを滑らせて、ドアを開いた。

 目の焦点を合わせずにライトを付け、ベッドに体を投げる。

 頭の後ろで両手を組んで、天井のライトを見つめた。

「綺麗すぎるのよ」

 そう、ベリルの体は綺麗すぎた。

 傷跡の一つも、ケイトは思い出せなかったのだ──有名な傭兵で、他の傭兵よりも厳しい依頼を受ける事が多いのに、どうして傷が一つも見あたらないの?

 もしかして、背中には沢山ある?

 いいえ、それでもおかしいわ。

 いくら傷が浅くても、1日も経たずに完治するなんてあり得る?