記す者

 てっきりノインが戻ってきたものだと思い、ドアを開けてしまったのだ。

 ノインがわざわざ自分の部屋にノックして入ってくる訳が無い、考えればすぐに気づきそうなものなのに。

 左肩を押える──すでに完治はしているが不死の体とはいえ、一瞬で治るほど万能という訳じゃない。

 完全に失われた方が、完治が速い事もある。

 痛みは不死になる前と何ら変わる事は無いし、消えゆく命に哀しみを覚える事も変わらない。

 この体が世の役に立つならば、いくらでも使って構わないが──

「気付かれるのも時間の問題か」

 ベリルは、壁に背中を預け天井を見上げた。