記す者

「治りが速い。傷も浅かったのでね」

「そうなの?」

「ノインが戻ってきたら卒倒(そっとう)する」

 まだ疑問の解けないような顔をしているケイトに、ベリルは苦笑いを浮かべて発した。その言葉にハッとする。

「あ、ごめんなさい」

「おやすみ」

「あっ……」

 ドアを閉められ、仕方なく部屋に戻っていった。

 ベリルは、遠ざかるケイトの足音をドア越しに聞き入る。

「参ったな」

 注意していたはずなのに油断した。