ごく一般的なホテルの通路を通り、ワインレッドのドアをノックする。

 しばらくして、ゆっくりとドアが開かれベリルが顔を出す。

「お前か」

 ケイトを見て、少し驚いた表情を浮かべた。

「どういう意──」

 言い切る前に、ベリルが上半身裸だという事に気がつく。

「シャワーを浴びていた」

「ああ」

 そういえば髪が濡れてるわ。

「何か用かね」

「いえ、特には無いわ」

 男の裸などで恥ずかしがる歳でもないが、ベリルの整った体型に見とれてしまい当初の目的を忘れた。