一体、彼の何を守っているのだろう──それを知られて、彼が怒り狂うことを恐れているという感じじゃない。

 まるで、彼を失う事を恐れているような……そんな感情が垣間見えた。

 それほどに彼は大切な人物で、それほどにとんでもない秘密を抱えている?

 手当を終えたベリルは指揮に戻り、しばらくすると輸送ヘリが上空を旋回した。

 ヘリがゆっくりと村の広場に着陸する──村人たちをヘリに乗せ、ベリルは撃たれた少年に笑顔で何かを手渡した。

「!」

ケイトが見たそれは、木で出来たオモチャだった。

「あの子のお父さんが死ぬ前に作ったものなんだって」

「!」

 ノインが後ろから説明した。