村までは、舗装された道路など有るはずもなく──途中まではジープで移動出来るが、昨日の雨で村から数百メートルの地点に崖崩れがあったらしく、そこからは歩きとなる。

「!」

 ケイトはふと、ベリルの不自然さに気が付いた。

 他の傭兵と比べると、かなりの軽装だ。

「ベリルは近接が得意なの。軽装でないと動きづらいでしょ」

 いぶかしげにベリルを見つめるケイトにノインが説明した。

 車を走らせること2時間──崖崩れの地点に到着する。ここからは徒歩だ。

 たった数百メートルを歩くだけなのに、密林の植物と気温に阻まれて思うように進めない。

 ケイトはカメラを握りしめて、ベリルたちの後を必死に追った。